Micro Cinema/March, 2020 ~

ありふれた音楽と日常の映像を組み合わせて映画的表現を目指すコンテンツ。YouTubeで無料公開している。

「ただ映像を引き立てるためだけの音楽」の正反対を映像の文脈で作りたいと思ったのがきっかけで生まれた。代替可能な映像のBGMとしての音楽ではなく、音楽が映像と癒着して、決して引き剥がされないまま心に迫ってくるような、そんな体験ができるものを作りたいと思った。その意味でこのプロジェクトは、ストックミュージック全盛の時代への一つの抵抗の表明でもある。

『台湾と三つの花』というタイトルは、長女が描いた落書きに由来している。ちょうどプロジェクト名を考えていたところに、娘が3つの花の上に太陽が笑っている絵を持ってきたのを見て、直感的にこれだと思い、ロゴに起こした。その絵は一見平和だが、花と太陽は大地と空という決して交わらない場所にいる。台湾人の妻、台湾人に「なっていく」二人の娘、そして彼らを台湾で養う日本人のぼく。これはまさにぼく達4人のことを描いた絵だった。

2020年末には、このシリーズの作品の一つが、台湾基隆市政府主催の映画祭『美麗基隆』で入選、佳作を受賞した。授賞式には地元のメディアも取材に訪れており、その模様は台湾全国に放送された(中文ニュース記事はこちら)。